北海道旅行での主要目的はエゾ鹿肉を購入すること。
以前当店で提供したローストベニソン付きのエゾ鹿のビリヤニは好評だったのですが、肉の掃除(肉の下拵え)が想像以上に大変でした。その後、いろいろなお肉を調理する機会を多くいただき、多少は処理技術も向上したのではないかと思います。今回の北海道旅行を機に、定期的にエゾ鹿肉を仕入れ、提供できるようにしたいと思っています。
ただし、こちらで用意しても需要がなければ食材を破棄せざるを得なくなるため、食べたいよーという方は、当店のlineや来店予約の際の備考欄にその旨を記載していただけると食材の準備もスムーズにできますし、お客様のご要望を組み入れた料理の提供ができるのではないかと思います。
エゾ鹿肉の栄養価について調べてみました。
前振りが長くなりました。
エゾシカ肉(エゾ鹿肉)は、北海道の豊かな自然環境で育ったエゾシカ(エゾ鹿)から得られるジビエ(野生の獣肉)の一種です。エゾシカ肉は、独特の風味と栄養価の高さから、近年特に注目されている食材です。
1. エゾシカとは?
まず、エゾシカについて簡単に説明しますね。エゾシカは北海道に生息するニホンジカの亜種で、北海道の広大な自然環境で野生動物として生きています。エゾシカは体が大きく、オスだと体重が100~150kgほど、メスでも50~80kgくらいになります。北海道ではエゾシカの個体数が増えすぎて、農作物の被害や森林の生態系への悪影響が問題になっているます。そこで、エゾシカの捕獲が推奨されていて、その一環としてエゾシカ肉が食材として提供されるようになりました。
2. エゾシカ肉の栄養価
エゾシカ肉は一般的な畜産肉と比べて栄養価が非常に高いんです。特に、以下の点で優れています。
- 低カロリー・低脂肪
エゾシカ肉は非常に脂肪が少なく、カロリーも控えめです。例えば、牛肉や豚肉に比べて脂質が少なく、100グラムあたりのカロリーが少ないため、ダイエットを意識している方にも理想的な食材です。 - 高タンパク質
エゾシカ肉は非常に高タンパク質で、筋肉の成長や修復に適しています。また、タンパク質の質も良く、必須アミノ酸をしっかり含んでいるので、栄養補給にも最適です。 - 鉄分が豊富
エゾシカ肉は鉄分が多く含まれており、特に女性や貧血気味の人にはおすすめです。鉄分はヘモグロビンを作るために必要な栄養素で、体の酸素運搬能力を高める働きがあります。 - ビタミンB群が豊富
エゾシカ肉にはビタミンB群、特にビタミンB2やB12が豊富に含まれています。これらのビタミンはエネルギー代謝を促進し、疲労回復やストレス軽減に役立ちます。

3. エゾシカ肉の味と調理法
エゾシカ肉は「ジビエ」として、独特の風味があります。一般的に、野生動物の肉は「クセがある」と言われがちですが、エゾシカ肉は比較的食べやすいと言われています。脂肪分が少ないため、淡白な味わいで、赤身肉の風味がしっかり感じられます。また、エゾシカの肉質は部位によって異なり、柔らかい部位はステーキやローストに、筋肉質な部位は煮込み料理などに適しています。
代表的な調理法
- ステーキ
エゾシカのロース肉はステーキに適しています。脂肪が少ないため、強火で一気に焼き上げて、肉のジューシーさを保ちつつ、赤身の旨みを感じることができます。ニンニクやローズマリーなどの香草と一緒に焼くと、風味も豊かになります。 - 煮込み料理
硬めの部位は煮込み料理に向いています。赤ワインやトマトソースでじっくり煮込むことで、肉が柔らかくなり、味がしみ込んで美味しい料理になります。シチューやカレーに使うのも美味しいです。 - ソーセージ・ハム
エゾシカ肉はソーセージやハムなどの加工食品にもよく使われています。特に、ドイツ風のジビエソーセージは、濃厚な味わいが特徴で、燻製の香りと相性が良いです。 - タタキやカルパッチョ
新鮮なエゾシカ肉は、軽く表面を炙ってタタキにすることも可能です。薄切りにして、ポン酢やオリーブオイルと合わせて、カルパッチョ風にするのもおすすめです。
4. エゾシカ肉の安全性と衛生管理
エゾシカ肉を食べるにあたっては、いくつかの衛生管理のポイントがあります。野生動物の肉なので、適切な処理を行わないと寄生虫や細菌によるリスクがあります。そのため、エゾシカ肉の捕獲から販売までの過程では、厳格な衛生管理が義務付けられています。
特に、エゾシカ肉の処理は、エゾシカ衛星処理マニュアルに基づいて専用の施設で行われ、高温での加熱処理が推奨されています。また、近年ではエゾシカ肉の品質管理が進んでおり、定期的な検査やトレーサビリティの確保によって、消費者が安心して食べられる環境が整っています。
5. エゾシカ肉の環境保全への貢献
エゾシカ肉を消費することは、実は環境保全にも貢献しています。北海道ではエゾシカの個体数が増えすぎて、農作物被害や森林の生態系への影響が深刻な問題となっています。エゾシカが増えすぎると、森林の植生を食べ尽くしてしまい、他の生物の生息環境が破壊されることがあります。
こうした背景から、エゾシカの有害駆除が進められており、その肉を食材として利用することは、資源の有効活用にもつながります。エゾシカを捕獲してその肉を食べることは、持続可能な環境保全の一助となるわけです。
6. エゾシカ肉の課題と普及への取り組み
エゾシカ肉の消費量は増えつつありますが、いくつかの課題もあります。まず、ジビエ肉全般に言えることですが、一般的な畜産肉に比べて流通量が少なく、価格が高い傾向があります。また、クセのある風味を持つため、調理方法や食べ方に工夫が必要な場合が多いことも、普及を阻む要因の一つです。特に、初めてエゾシカ肉を食べる人にとっては、野生動物特有の風味が「クセが強い」と感じられるかもしれません。
しかし、これらの課題を克服するために、北海道内外でさまざまな取り組みが進められています。例えば、北海道の自治体やジビエ関連団体は、エゾシカ肉の魅力を広めるために、シェフや料理研究家と協力して、エゾシカ肉を使ったレシピの開発や料理イベントの開催を行っています。また、学校給食やレストランでエゾシカ肉が提供される機会も増えてきています。
https://www.yezodeer.org/library/aao/aao004.pdf
さらに、エゾシカ肉の品質向上に向けた取り組みも進んでいます。捕獲後の処理技術が向上し、臭みを抑えた高品質なエゾシカ肉が流通するようになったことも、消費者の支持を集める要因となっています。
7. エゾシカ肉の社会的・文化的意義
エゾシカ肉の消費は、単なる食材としての価値を超えて、地域社会や文化にも影響を与えています。北海道では、エゾシカ肉を取り入れた郷土料理や季節のイベントが増え、地域の特産品としての認知が高まっています。これにより、地元の農業や観光業とも連携し、地域経済の活性化にも貢献しています。
また、エゾシカ肉を消費することは、自然との共生や持続可能な資源利用の象徴とも言えます。野生動物との共存を目指す中で、エゾシカ肉を有効活用することは、自然保護や環境保全の一環としても重要な意味を持っています。
エゾシカ肉は、日本国内だけでなく、海外のジビエ愛好者や料理家からも注目されています。特に、フランスやドイツなど、ジビエ文化が根付いている国々では、日本産のエゾシカ肉が高級食材として評価されています。これにより、エゾシカ肉の輸出も徐々に増えており、国際的な市場でもその価値が認められつつあります。
8. 最後に
エゾシカ肉は、栄養価が高く、ヘルシーで環境保全に貢献できる食材として、注目を集めています。脂肪が少なく、鉄分やビタミンB群が豊富なため、健康志向の人々にも適した食材です。また、調理法次第では、独特の風味を活かして美味しく食べることができ、ステーキや煮込み料理、ソーセージ、タタキなど、さまざまな料理に活用できます。
北海道の自然と共に生きるエゾシカを資源として活用することで、持続可能な環境保全にも寄与できる点が、エゾシカ肉の大きな魅力の一つです。今後も、エゾシカ肉に関する取り組みが進み、さらに広範囲で消費されるようになれば、北海道の特産品としての価値はより一層高まっています。
そのお肉をとら屋食堂でも味わっていただけましたら幸いです。
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